2011/02/26

あなたが知らないかもしれないOracleパッチの数々

昨年のことになりますが、Oracle Direct Seminar という Webiner(通称:ダイセミ)で Oracle Database のアップグレードに関するセッションがありました。その中で、自分の中で混乱していたパッチに関する情報が大変スッキリとまとめられていましたので、ここに紹介したいと思います。

(2012/09/26 追記)

日本オラクル カスタマ・サポート情報のブログで詳しく紹介されている文書があります。

KROWN や Note へのリンクがまとめられていますので正確な情報はこちらでご確認ください。

「パッチ」とは?

  • パッチとはプログラムの修正。
  • 用途は不具合の修正からバージョンアップまで様々。
  • プログラムの一部を修正するためにソフトウェアを入れ替えるよりは、修正箇所だけを抜き出しパッチを当てる方が効果的。

パッチの種類

Oracle 社が提供するパッチには以下の種類があります。

  • PSE (Patch Set Exception) 別名: 個別パッチ
    • 一つの不具合に対する修正パッチ。
    • リリースタイミングは不定期。申請を元にサポートより提供される。
    • 次期リリースの PSR/メンテナンス・リリースまで修正を待つことが出来ない顧客に提供される。
    • OPatch で適用する。
    • 注意事項:
      • 適用済みのパッチとのコンフリクト・チェック(互換性確認)が必要。(OPatch で可能)
      • 個別パッチは指定のバージョン/PSR にのみ適用可能。 (例: 10.1.0.3 に作成された個別パッチは 10.1.0.4 に適用不可)
  • PSR (Patch Set Release)
    • 不具合に対する複数の修正が統合し、安定した修正モジュールを提供するためのパッチ。
    • 一定期間ごと、My Oracle Support より確認可能。
    • Oracle Universal Installer(OUI) で適用する。
    • 注意事項:
      • 機能の追加はないが、オプティマイザの動作変更や機能の変更が含まれる可能性がある。
  • CPU (Critical Patch Update)
    • セキュリティ脆弱性を修正するためのパッチ。四半期の間に累積されたセキュリティ脆弱性を修正するパッチ。
    • 四半期ごとにリリースされる。
    • My Oracle Support よりダウンロード可能。 アドバイザリーは→ Critical Patch Updates and Security Alerts
    • OPatch で適用する。
    • 注意事項:
      • CPU はセキュリティ脆弱性以外にも重要な修正を含む場合がある。
  • PSU (Patch Set Update)
    • CPU を含む、パッチ適用が推奨される不具合修正が累積されたパッチ。
    • CPU と同時にリリースされるため、四半期ごと。
    • CPU と同様、My Oracle Support よりダウンロード可能。
    • OPatch で適用する。
    • 注意事項:
      • データベースのバージョン番号の5桁目で PSU が確認可能。 (PSU 適用後→11.1.0.7.2)
  • 診断パッチ (Diagnostic Patch)
    • 不具合を修正するためではなく、問題を診断する目的のために作成されるパッチ。
    • リリースタイミングは不定期。
    • 顧客に対してサポートより必要と判断されると提供される。
    • OPatch で適用する。
    • 注意事項:
      • 問題を修正するパッチではない。
      • 診断パッチを適用することにより、問題の原因が特定できた場合にのみ個別パッチが作成される。
  • バンドルパッチ (Patch X)
    • Windows プラットフォーム用累積パッチ。CPU や PSU も含まれる。
    • 基本的に四半期ごと。
    • My Oracle Support よりダウンロード可能。
    • 注意事項:
      • Windows プラットフォームではオブジェクト・ファイルごとの提供が不可能であるため、個別パッチのようにパッチを提供することが出来ない。(バイナリをリコンパイルする必要があるため)
      • 特定の不具合のパッチの申請が行われた場合、将来の Windows Bundle Patch X に累積して含める形で提供される。

Oracle Database ソフトウェアのリリースの識別

パッチを適用することでいくつかのリリース番号が変更されます。Oracle Database のリリースを完全に識別するには5つの番号が必要です。

11.2.0.1.0
ドットで区切られた数値は、左から順番に次のような意味になります。
  • バージョン番号
  • メンテナンス・リリース番号
  • アプリケーション・サーバのリリース番号
  • コンポーネント固有のリリース番号
  • プラットフォーム固有のリリース番号
詳しくはマニュアルをご確認ください。

Oracle Database 11g Relase 2 Patch Set Release (11.2.0.2)

PSR は基本的に機能の追加はないそうですが、このリリースでは通常の不具合修正に加えて新機能、機能拡張が行われています。またインストール方式も out-of-place アップグレード(既存のバイナリを置き換えるのではなく、別の場所にインストールする)に変わっていて、従来の手法と勝手が異なるようです。

RAC まわりの少し具体的な内容は昨年開催された Oracle DBA & Developer Days 2010 の Day2 で聴いてきました。これはもう、11g R3 と呼べるレベル!?

パッチの適用はデータベース運用フェーズにおいて重要なタスクの一つ。リリース情報の入手、内容の把握、適用の要否、手順の検証、適用計画の策定、実施など作業はいろいろありますが、安定したサービスを提供するために不断の努力を怠らないようにしたいものです。

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