気づくと Oracle Database リファレンス 11.2 が B56311-07 に改訂されていました。
私は自作したツールであらかじめダウンロードしたリファレンスマニュアルをコマンドラインで参照しています。 このツールで過去に作成したデータ(B56311-04)と現在(B56311-07)の差分を比較して、どのような変更があったのか確認してみました。表記の統一
- 「バインド・ピーキング」が「バインド照合」
- 「自動ストレージ管理」が「Oracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)」
- 「ANALYZE文またはDBMS_STATSパッケージ」→「DBMS_STATSパッケージ」
- 「〜の統計を」→「〜の統計情報を」
- 「ハイブリッド列単位圧縮」→「ハイブリッド列圧縮」
- 「〜の名前」→「〜名」
- 「〜の型」→「〜タイプ」
第I部 初期化パラメータ
追加された項目
削除された項目
- SEC_PROTOCOL_ERROR_FURTHER_ACTION
- SEC_PROTOCOL_ERROR_TRACE_ACTION
変更の可/不可、基本/基本以外
これらの変更については省略します。
注意書きが追加された項目
- CLONEDB
CLONEDB初期化パラメータは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.3)から使用可能です。 - DB_FLASH_CACHE_FILE
- DB_FLASH_CACHE_SIZE
この初期化パラメータは、Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.2)以上で使用できます。 - DB_UNIQUE_NAME
- 一部のデータベース・ツールまたはユーティリティでは、その操作の一部としてデータベースを一意に識別する文字列を生成します。この文字列には、データベースのDB_UNIQUE_NAMEおよびデータベースSIDなどのその他のデータベース識別情報が含まれる場合があります。
- Oracle Databaseでは、一部の識別子が30文字に制限されるため、短いDB_UNIQUE_NAMEを使用することにより、DB_UNIQUE_NAMEを含む文字列を作成するツールやユーティリティでの「ORA-00972 識別子が長すぎます。」メッセージの発生を防ぐことができます。
- LOG_FILE_NAME_CONVERT
LOG_FILE_NAME_CONVERTパラメータは、オンライン・ログにのみ適用されます(アーカイブ・ログには適用されません)。 - NLS_CALENDAR
初期化パラメータが指定されていない場合、初期セッション値はGREGORIANとなります。クライアントがOCIベースで、NLS_LANGのクライアント設定(環境変数)が定義されている場合、この初期値はクライアント側の値でオーバーライドされます。 - OPTIMIZER_DYNAMIC_SAMPLING
Oracle Database 11gリリース2 (11.2.0.4)より前のリリースでは、動的統計は動的サンプリングと呼ばれていました。 - PARALLEL_DEGREE_POLICY
自動並列度は、SQL文レベルでPARALLELヒントが使用されると、PARALLEL_DEGREE_POLICYの値にかかわらず有効になります。 - RESULT_CACHE_MODE
FORCEモードでは、データベースおよびクライアントがすべての問合せをキャッシュしようとして、パフォーマンスおよびラッチの著しいオーバーヘッドが生じるため、お薦めできません。さらに、確定的でないPL/SQLファンクションを呼び出す問合せもキャッシュされるため、そのように対象範囲が広い場合の結果キャッシュは、大幅に結果を変える原因になる可能性があります。
値に変更があった項目
- FILESYSTEMIO_OPTIONS デフォルト値が次のように変更→データベース・バージョンおよびオペレーティング・システムによって異なる
- GCS_SERVER_PROCESSES デフォルト値の説明が追加。
CPUが16基以上の場合は、2 + (CPU数/32)。結果に端数が含まれる場合、その端数は無視される。たとえば、CPUが20基の場合は2 + (20 / 32)となり、2つのGCSプロセスとなる。
^脚注1 特定のオペレーティング・システムでは、RDBMSは、CPUのコア対スレッドの比率に基づいて、バックグラウンドGCSサーバーのデフォルトの割当てを最適化します。 - LOG_ARCHIVE_TRACE 2つ値が追加
- 16384: REDO転送バッファ管理の追跡
- 32768: LogMinerディクショナリの追跡
- OPTIMIZER_DYNAMIC_SAMPLING値の範囲が0〜11に変更。
- このパラメータを11に設定すると、オプティマイザは動的統計を使用してすべてのSQL演算子に対するカーディナリティの見積りを検証し、見積りの検証に費やす内部的な時間制限を決定します。
- OPTIMIZER_DYNAMIC_SAMPLINGの値が11に設定されると、OPTIMIZER_FEATURES_ENABLEの設定はOPTIMIZER_DYNAMIC_SAMPLINGの設定に影響を与えません。
説明が追加された項目
- ENABLE_DDL_LOGGING
ENABLE_DDL_LOGGINGがtrueに設定されている場合、次のDDL文がアラート・ログに書き込まれます。- LTER/CREATE/DROP/TRUNCATE CLUSTER
- ALTER/CREATE/DROP FUNCTION
- ALTER/CREATE/DROP INDEX
- ALTER/CREATE/DROP OUTLINE
- ALTER/CREATE/DROP PACKAGE
- ALTER/CREATE/DROP PACKAGE BODY
- ALTER/CREATE/DROP PROCEDURE
- ALTER/CREATE/DROP PROFILE
- ALTER/CREATE/DROP SEQUENCE
- CREATE/DROP SYNONYM
- ALTER/CREATE/DROP/RENAME/TRUNCATE TABLE
- ALTER/CREATE/DROP TRIGGER
- ALTER/CREATE/DROP TYPE
- ALTER/CREATE/DROP TYPE BODY
- DROP USER
- ALTER/CREATE/DROP VIEW
- MEMORY_TARGET
MEMORY_TARGETは、SGAおよびPGAの現在のサイズの合計以上に設定する必要があります。 - NLS_CALENDAR
イスラム紀元、英語版イスラム紀元、日本の元号制、がそれぞれ「暦」に変更。 - OPTIMIZER_DYNAMIC_SAMPLING
OPTIMIZER_DYNAMIC_SAMPLINGでは、データベースで動的統計を収集するタイミングと、統計の収集にオプティマイザが使用するサンプル・サイズの両方が制御されます。 - PGA_AGGREGATE_TARGET
自動メモリー管理が有効で(MEMORY_TARGETが正の値に設定され)、PGA_AGGREGATE_TARGETも正の値に設定されている場合、PGA_AGGREGATE_TARGETの値がインスタンスPGAのサイズの最小値として動作します。 - SEC_MAX_FAILED_LOGIN_ATTEMPTS
値の範囲:1以上。このコンテキストでは、「より大きい」は1より大きい任意の整数を意味し、文字列「より大きい」を意味するものではない。 - SGA_TARGET
自動メモリー管理が有効で(MEMORY_TARGETが正の値に設定され)、SGA_TARGETも正の値に設定されている場合、SGA_TARGETの値がSGAのサイズの最小値として動作します。
第II部 静的データ・ディクショナリ・ビュー
追加された項目
- ALL_ATTRIBUTE_TRANSFORMATIONS
- ALL_GG_INBOUND_PROGRESS
- ALL_GOLDENGATE_INBOUND
- ALL_TRANSFORMATIONS
- DBA_GG_INBOUND_PROGRESS
- DBA_GOLDENGATE_INBOUND
- DBA_GOLDENGATE_SUPPORT_MODE
- DBA_MINING_MODEL_TABLES
- DBA_WORKLOAD_ACTIVE_USER_MAP
- DBA_WORKLOAD_REPLAY_SCHEDULES
- DBA_WORKLOAD_SCHEDULE_CAPTURES
- DBA_WORKLOAD_SCHEDULE_ORDERING
- DBA_WORKLOAD_USER_MAP
- REDACTION_COLUMNS
- REDACTION_POLICIES
- REDACTION_VALUES_FOR_TYPE_FULL
- USER_APPLY_ERROR
注意書きが追加された項目
- DBA_UNDO_EXTENTS
DBA_UNDO_EXTENTSによって報告されるUNDO領域配分の状態は、DBA_UNDO_EXTENTSが問い合せられているインスタンス上でアクティブなUNDO表領域に対して正しいものです。ただし、各インスタンスで異なるメモリー内情報を使用するため、インスタンスから問合せがあったときに、別のインスタンス上でアクティブなUNDO表領域のUNDO領域配分の状態に不一致が生じる場合があります。これはUNDO機能には影響せず、他のインスタンスのUNDO表領域の領域配分の状態の不一致を報告するのみです。ベスト・プラクティスは、UNDO表領域がアクティブになっているインスタンスから、UNDO表領域の領域配分を問い合せることです。
列の定義に変更があった項目
- ALL_APPLY_DML_HANDLERS
HANDLER_NAME
HANDLER_TYPE
が削除されてSET_BY
が追加 - ALL_APPLY_ERROR
ERROR_TYPE
が VARCHAR2(23) に拡張されてERROR_POSITION
が追加 - ALL_CAPTURE
CLIENT_NAME
CLIENT_STATUS
OLDEST_SCN
FILTERED_SCN
が追加 - ALL_TSTZ_TAB_COLS
VIRTUAL_COLUMN
が追加 - DBA_FLASHBACK_ARCHIVE_TABLES
STATUS
が追加 - DBA_WORKLOAD_REPLAYS
SCHEUDLE_NAME
が追加
説明に変更があった項目
- ALL_REGISTERED_MVIEWS 以下の説明が追加。
CREATE MATERIALIZED VIEW文のBUILD DEFERREDオプションを使用して作成されたマテリアライズド・ビューは、少なくとも1回完全にリフレッシュされた場合にかぎり、ALL_REGISTERED_MVIEWSによって登録されます。 - DBA_APPLY_DML_HANDLERS 「ALL_APPLY_DML_HANDLERS の列と同じです。」から説明が追加。
- DBA_APPLY_ERROR 「ALL_APPLY_ERROR の列と同じです。」から説明が追加。
- DBA_ENABLED_TRACES
注意書きのノート番号が修正「293361.1」→「293661.1」 - DBA_FEATURE_USAGE_STATISTICS
DESCRIPTION
の検出ロジックの説明がSQL問合せの説明に変更。
データベースの機能およびその説明をアルファベット順に表示するには、次のSQL問合せを使用します。SELECT name, description FROM dba_feature_usage_statistics ORDER BY name;
- DBA_HIST_RESOURCE_LIMIT 以下の説明が追加。
時間に関心がある場合は、このビューをDBA_HIST_SNAPSHOT.END_INTERVAL_TIMEと結合します。
第III部 動的パフォーマンス・ビュー
追加された項目
- V$CLONEDFILE
- V$DEAD_CLEANUP
- V$FS_OBSERVER_HISTOGRAM
- V$GG_APPLY_COORDINATOR
- V$GG_APPLY_READER
- V$GG_APPLY_RECEIVER
- V$GG_APPLY_SERVER
- V$GOLDENGATE_CAPTURE
- V$HANG_STATISTICS
- V$RO_USER_ACCOUNT
- V$XSTREAM_APPLY_COORDINATOR
- V$XSTREAM_APPLY_READER
- V$XSTREAM_APPLY_RECEIVER
- V$XSTREAM_APPLY_SERVER
列の定義に変更があった項目
- V$ARCHIVE_PROCESSES
ROLES
が追加 - V$DNFS_CHANNELS
RECO
が追加 - V$DNFS_STATS
NFS_READBYTES
NFS_WRITEBYTES
が追加 - V$RESULT_CACHE_OBJECTS
DB_LINK
CHECKSUM
が追加 - V$RSRC_SESSION_INFO
LAST_ACTION
LAST_ACTION_REASON
LAST_ACTION_TIME
が追加 - V$SESSION_WAIT
WAIT_ID
が削除 - V$SQL_MONITOR
RM_LAST_ACTION
RM_LAST_ACTION_REASON
RM_LAST_ACTION_TIME
RM_CONSUMER_GROUP
が追加 - V$STREAMS_APPLY_COORDINATOR
ACTIVE_SERVER_COUNT
が追加
説明に変更があった項目
- V$FOREIGN_ARCHIVED_LOG 説明書きに以下が追加。
フィジカル・スタンバイ・データベースでは、このビューに対して行は戻されません。 - V$SESSION
COMMAND
の説明がSQL問合せの説明に変更。
次のSQL問合せを実行することによって、このCOMMAND列に戻された任意の値nのコマンド名がわかる。SELECT command_name FROM v$sqlcommand WHERE command_type = n;
このCOMMAND列の値が0の場合、コマンドがV$SESSIONに記録されていないことを示す。
A データベースの制限事項
論理データベースの制限
追加された項目。- 「システム変更番号(SCN)」「281,474,976,710,656(281兆SCN)」
- 「GRUOP BY句」
C Oracle待機イベント
- buffer busy waits
以下の説明が追加。
セッションがバッファ・キャッシュ内でバッファを確保できない原因は4通りあり、各原因に個別の待機イベントが存在します。- buffer busy waits: 別のセッションがバッファを確保しているため、バッファ・キャッシュ内でバッファを確保できない。
- read by other session: 別のセッションがディスクからバッファを読取り中であるため、バッファ・キャッシュ内でバッファを確保できない。
- gc buffer busy acquire: 別のセッションが別のインスタンスのキャッシュからバッファを読取り中であるため、バッファ・キャッシュ内でバッファを確保できない。
- gc buffer busy release: 別のインスタンスの別のセッションが、バッファを確保できるように、このキャッシュからバッファを自身のキャッシュに取得中であるため、バッファ・キャッシュ内でバッファを確保できない。
D Oracleエンキュー名
追加された項目。
- ZA、監査表を移動するときの排他ロック
E 統計情報の説明
追加された項目。
- application wait time
- cluster wait time
- commit nowait performed
- commit nowait requested
- commit wait/nowait performed
- commit wait/nowait requested
- commit wait performed
- commit wait requested
- concurrency wait time
- global enqueue get time
- global enqueue gets async
- global enqueue gets sync
- global enqueue release
- global enqueue CPU used by this session
- shared hash latch upgrades - no wait
- shared hash latch upgrades - wait
- user I/O wait time
- global lock async converts
- global lock async gets
- global lock convert time
- global lock get time
- global lock release
- global lock sync converts
- global lock sync gets
F バックグラウンド・プロセス
追加された項目。
CXnn
(ストリーム伝搬送信者プロセス)FDnn
(Oracle ASM失効FDクリーンアップ・スレーブ・プロセス)
おわりに
マニュアルが実装に追いついたものもあると思いますが、こうやって列挙してみると 11.2.0.4 で追加された項目が結構ありますね。GoldenGate や Data Reduction 関連は 12.1 からのバックポートもあるようです。
現場でもそろそろ PSR 11.2.0.4 を当てようかという話が出始めていますので変更内容を確認しておこうと思います。
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